医療施設

当社の医療施設設計のポイント

■患者さんに優しく、スタッフが働きやすい病院づくり

医療施設設計の根幹は、患者さんの治療効果を最大化し、医療スタッフが効率的に業務を行える環境の創出です。
感染症対策は現代医療において最重要課題の一つであり、適切な空気の流れを計画的に設計することで院内感染を防止します。
清潔エリアから汚染エリアへの一方向の空気流を確保し、感染源の拡散を阻止します。待合室、診察室、処置室それぞれに適した換気システムを導入し、患者さん同士の感染リスクを最小限に抑えます。また、手指消毒設備を適切な位置に配置し、医療従事者と患者さんの双方が感染予防に取り組める環境を整えます。

患者さんの移動しやすさと待ち時間の短縮は、医療サービスの質を大きく左右します。
車椅子やストレッチャーでも楽に移動できる十分な廊下幅を確保し、段差のないバリアフリー設計により、身体の不自由な方も安心して利用できます。受付から診察室、検査室、薬局まで効率的な動線を計画し、患者さんの身体的負担を軽減します。
待合室の配置を工夫し、診療科目ごとの分離や、感染症患者さん専用の待合スペースを設けることで、安全で快適な医療環境を提供します。
デジタルサイネージや案内表示を活用し、初診の患者さんでも迷わずに目的の場所にたどり着けるよう配慮します。

医療機器への対応は、現在の医療レベル維持と将来の技術発展への準備の両面から重要です。MRIやCTスキャナーなどの重量のある医療機器を安全に設置できる構造設計を行い、振動や電磁波の影響を適切に遮断します。
将来導入される可能性のある新しい医療機器にも対応できるよう、電気設備や給排水設備に十分な余裕を持たせた設計を行います。
手術室や集中治療室などの高度医療エリアでは、無停電電源装置や医療ガス供給システムを確実に配置し、緊急時でも医療行為を継続できる体制を整えます。
患者さんの心理的負担を軽減し、治療効果を高める癒しの環境づくりも重要な要素です。自然光を効果的に取り入れることで、患者さんの生活リズムを整え、治癒力の向上を図ります。色彩心理学に基づいた色使いにより、不安や恐怖心を和らげ、リラックスできる空間を演出します。
待合室や廊下にはアート作品や観葉植物を配置し、病院特有の緊張感を和らげます。窓からの景色や中庭の緑を楽しめる設計により、入院患者さんの精神的な支援も行います。音響設計にも配慮し、医療機器の騒音や他の患者さんの声が気にならない静かな環境を実現します。
災害時や緊急事態への対応能力は、地域医療の拠点として欠かせません。停電時でも重要な医療機器が稼働し続けられるよう、非常用発電設備を適切に配置します。
医療ガスの供給が途絶えることのないよう、バックアップシステムを構築し、手術中や集中治療中の患者さんの安全を確保します。
災害時に多数の患者さんを受け入れることができるよう、平時は他の用途で使用するスペースも緊急時には治療エリアとして転用できる設計を行います。医療スタッフが迅速に対応できるよう、緊急時の動線と通信システムも事前に計画します。
患者さんのプライバシー保護は、安心して治療を受けるための基本的な権利です。診察室の遮音性を高め、隣の部屋や廊下に会話内容が漏れることを防ぎます。待合室から診察室の中が見えないよう視線を遮断し、患者さんが周りの目を気にすることなく治療に専念できる環境を作ります。
相談室やカウンセリングルームでは、より高度なプライバシー保護を実現し、患者さんが心を開いて相談できる空間を提供します。
電子カルテシステムを扱うエリアでは、第三者による情報の盗み見を防ぐ適切な配置と設備を計画します。